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ハイドとケンさん。
日が窓から射し込む午後、久しぶりに具合が悪くなった。
原因はいくつか思い出せるのだけど、自分でもなにが本当なのかわからない。
このまま部屋に閉じこもっていたら余計おかしくなりそうなので、
いつもなじみの友達を呼びだした。
携帯のメールにはちゃんと具合が悪いことを伝えて。
彼は「どこかにいく?」と、自分の望んだ答えをメールで届けてくれた。
待ち合わせ場所まで久しぶりに歩いてみることにした。
冬なのになぜか日差しが柔らかかった。
その日差しが皮肉にも自分を無視して時間が進んでいる気がした。
なんの期待もなく、なんの不安もなく、ただ、誰かに会いたくて、側にいてほしくて。
歩いていると途中に胃がキリキリと痛む。
何度かにわけて痛みが襲い、途中で足を止めてしまう程だ。
あぁ。意外ときてるなぁ。と歯を食いしばりながら思う。
待ち合わせのカフェに友達はもういた。
いつもと変わらない顔に安心感を覚える。
「突然呼び出してごめんね。」と言うと、
彼は「大丈夫だよ。」と答える。
当たり前の光景が嬉しい。
胃が痛いのに濃いめのコーヒーをたのんで、ちびちび飲む。
おいしさもなにも感じない。
自分の体をいじめているのが、なにか奇妙だ。
仕事帰りの友達は楽しそうにいろいろな話をしてくれる。
仕事仲間の話だとか、最近みつけたバーの話だとか。
彼の様子はいつもと全く変わらなくて、楽しそうだ。
だが、今回は調子が悪い自分にとっては逆効果だった。
最初は目を見て、うなずいたり、話にそった質問をいれたりして、彼の話に乗っていたけど、
だんだんそれも難しくなってきた。
具合が悪いことを知らせてあるんだから、自分の楽しい話ばかりをされても困る。
友達を自分から誘ったのに、そんな我が儘を思い、それにも罪悪感を感じた。
もう、友達の話を聞くのも嫌になったし、具合が悪い自分に気付いて欲しくて、
途中からは目は宙に向き、反応もしなかった。
そうしたら、少しは気付いてくれるか、自分の話を聞いてくれるかと期待したからだ。
でも、彼はやっぱりうるさく話しをつづける。
ため息がでそうだった。
濃いめのコーヒーを飲むピッチがあがり、余計に胃を痛めつける。
精神的か、それともコーヒーのせいか、胃は痛くなるばかりだ。
「どうしたの?ぼーっとしてるよ。」
ようやく友達が話しかける。
もうだめだ。とおもった。
今日はもう、こいつと一緒にはいられないな。
今日は誰かに頼りたい気分だったのに、それも無理だったな。とあきらめた。
「ちょっと電話いれなきゃいけないとこあるから。」
そう口実をつけてカフェの外に出る。
煙草に火をつけて、煙を吐き出す。
白い煙がいつの間にか寒くなりだした空に登っていく。
それをぼーっと見つめながら携帯を手に取った。
メールが来ていた。
『知ってた?ポロってブランドあるじゃん。あれって馬にのってボール使うゲームなんやって~』
なんだこれ?
けんちゃんからだった。
思わず笑いがこぼれる。くだらない。
『知らなかったわ~。今日調子悪くて、今友達とあってんやけど、なんか余計鬱になったわ。
まだ仕事はたまってるし。なんかうまくいかんな。』
普段まめに返さないメールをすぐに打った。
冷たい風が煙草の灰を落とす。
頬にあたる冷気が気持ちよく、吐く息が白く染まって、なんだか気分も白くなる。
『でしょ?知らないよね~。世の中には知らない事が沢山あるよね~。
ちょっと休めば~?あんま恨詰めるとおかしくなるよ。』
けんちゃんは不思議だ。
別に特別な事を言っているわけではないのに、空気が柔らかい。
人柄が可愛らしいのだと思う。
言って欲しい言葉を空気と一緒にくれる。
いつのまにか、顔が少し笑っていた。
そうだな。すこし休もうかな。
携帯の時計は電話をすると言ってから10分たっていた。
もう、少ししか残ってない煙草の最後を楽しんで、メールを打つ。
『ありがとう。ちょっと元気になったわ~。』
いつの間にか胃痛は和らいでいた。
人間って不思議なもんだな。
気をとりなおして、友達のところへ戻る。
今日は早いところ別れて、家に帰ろう。
ひさしぶりに溜めてあったDVDを見ようかな。
ゆっくりと時間が流れる田舎町の古い映画があったはずだ。
「お待たせ」
そう友達に言った声がさっきよりも和らぐ。
えーっと、初めてなのではないでしょうか?
ワタクシがこういうの書くの。
うまい言葉は使えないので、ごめんなさい。
軽く本心です。
なんか、ケンちゃんが柔らかそうでさ~、ハイドさんが、昔なんかの雑誌で「この前鬱っぽくなって~」
って言ってたのを思い出して、ハイドさんにしました。
まぁ、あたしの楽しみなんで、許して下さい。
kumori